●ストーリー#1
(2017.7.17 第2回イベント朗読劇)




登場人物

小松川明日風―――cv:山本希望
船堀迎――――――cv:佳村はるか
タマーラ・アリア・瑞江・アンドロポポフ(タマ)――cv:谷口夢奈
篠崎夢見―――――cv:鈴木亜理沙
本八幡有菜――――cv:髙山ゆうこ
菊川陽乃―――――cv:榎吉麻弥
葛西光牙―――――cv:檜山修之
ナレーションーション――cv:檜山修之



(菜と迎がケンカ)



有菜 「またか迎!今日という今日は許さないぞ!!」

迎  「何度も言わせないで。私は一人で出来る」

明日風「わ、わっ!また始まっちゃったよ~トホホ」

夢見 「どうしよう。明日風ちゃん」

有菜 「今は大丈夫でも、一人では難しい敵も出てくるだろう!」

迎  「一人の方が気楽に戦えるの。私の足を引っ張らないで」

有菜 「なんだと!?」

明日風「タマちゃん!二人を止めて!」



タマ 「タマちゃんって呼ぶな~!……まったく、しょうがないわね…。 二人共、ケンカなんて子供っぽいことやめなさいよ」

有菜 「うるさいぞチビ!」



タマ 「なんですって!ちょっと表出なさいよこらー!」

明日風「タマちゃんが喧嘩してどうするの!」

夢見 「陽乃さん!なんとか止められないですか?」

陽乃 「これがあの有名な“青春の決闘”ですのね! 夕陽をバックに睨みあい、稲光と共に走り出した二人は熱いキスを…」

夢見 「えぇ~!?決闘はどうしたの! そもそもジャンルが変わっちゃってるよ…」

陽乃 「あら?わたくしが読んでいる書物ではいつも…」

夢見 「その話はもういいです」

明日風「司令官も黙ってないで、二人の喧嘩を止めてよ!」



光牙 「ん?いや、こういうのも大事なものなんだよ。ちゃんと本音をぶつけ合う場ってやつがな」

タマ 「チビ、チビって、私は小さくないっていつも言ってるでしょ!小さいのは司令官の器くらいじゃん!」

光牙 「よーし、タマ。それがお前の本音だな?そこになおれ!その根性を叩き直してやる!」

明日風「もう! 司令官まで~」



迎  「もう私は行くわ。ここで話してても埒が明かないから」

有菜 「勝手にしろ!」

迎&有菜 「ふん!」

(迎と有菜は別々の方向へ歩き出してしまう)



夢見 「明日風ちゃん、どうしよう…」

明日風「私達で仲直りさせるしかないよね。私が迎の説得に行くから、有菜姉の説得を任せちゃってもいいかな?」

夢見 「う、うん!わかった」

(明日風・夢見が、それぞれ迎・有菜を追う)



夢見 「有菜さん、少し、よろしいですか?」

有菜 「あ、あぁ。夢見か…。すまないな、見苦しいところ見せちまって」

夢見 「そんな、いいんです。私も、一人で戦うより、みんなで戦った方がいいと思うから…。 でも、迎ちゃんもそれは分かってると思うんです。だから、迎ちゃんの『足を引っ張らないで』なんて、本心じゃない。 そのことだけは分かって欲しくて…」



有菜 「あぁ。さっきのが迎の本心じゃないことも、本当は迎が仲間思いのいい奴だってことも分かってるよ。 ただ、昔私のせいで、仲間が一人、行方不明になっちまったんだよ…。 だから、仲間が危険にさらされるかもしれないって思うと、頭に血が昇っちまってな…」

夢見 「有菜さん…」



(タマが登場する)



タマ 「ふっふっふ…。有菜…。私のことをチビ呼ばわりしたこと、後悔させてあげるわ。 この、夢見に作ってもらった、夢の身長補正アイテム『はいぱ~厚底くん』でね!」



ナレーション 「説明しよう!『はいぱ~厚底くん』とは、 夢見が運動力学の粋を結集し作り上げた厚底靴なのだ! 履いていることを忘れてしまう程のフィット感で、歩行を妨げることなく、 約20cm身長をアップさせることができるのである!」

タマ 「さぁ有菜!見下ろされる屈辱的な気分を味わうがいい!」

(厚底靴を履いても、有菜の身長に届かないタマ)



タマ 「なんであなたが見下ろしてるのよー!」

有菜 「そんなこと言われてもなぁ…」

タマ 「でも調子に乗らないことね!この『はいぱ~厚底くん』の最終兵器を見せてあげるわ!」

ナレーション 「説明しよう!『はいぱ~厚底くん』の厚底部分には、ジェットエンジンが搭載されており、 底からのジェット噴射で浮くことができるのだ!」

タマ 「さぁ、この最終兵器を前に、今度こそひれ伏すがいい!」

夢見 「タマちゃんダメ!その機能はまだ調整中!」

タマ 「ぽちっとな」



(ゴォォォォォォォォォーーーー)

タマ 「きゃああああああああ!」

有菜 「お、おい!タマがどっかへ飛んで行ったぞ!」

夢見 「だからまだ調整中だって言ったのに…。タマちゃーん、今助けに行くよー」

有菜 「私もいっしょに行くぞ」





明日風「はぁ はぁ 迎…やっと追いついたよ…」

迎  「明日風…」

明日風「迎…どうして一人で戦おうとするの?私達、仲間なんだから、一緒に戦おうよ。そりゃあんまり頼りにならないかもしれないけど…」



迎  「そんなことない!」

明日風「迎…」

迎  「そんなこと、ない。でも、私は不安になるの。戦いで、誰かがけがをするんじゃないか…。 誰かがいなくなってしまうんじゃないか…。 仲間が傷つくところを見るくらいなら、いっそ私が一人で……」

陽乃 「それは間違ってますわ!迎さん!」



迎  「陽乃!?」

陽乃 「それは本当の仲間とはいいませんわ。仲間とは、信頼し合ってこそですもの。 どんな強い敵が相手でも、どんなにピンチの場面でも、仲間とは信頼し合うものですわ」

迎  「そう、かも…しれないわね」

明日風「さすが陽乃さん、いいこと言うな~」

陽乃 「それに、ちょっとはけがをしてくれないと、『ちゅ~にんぐ』もできないではありませんか!」

明日風・迎 「…えっ?」

陽乃 「『ちゅ~にんぐ』によって、現在わたくしは合法的にかわいい娘たちと 『(ピー音♥)』や『(ピー音♥)』ができる立場にあるのですよ!みんながけがをしなくなったら、 わたくしは隠れて『(ピー音♥)』をしなければならないのですよ! あぁどうしましょう!?」

明日風「もぅ!私たちのちょっとした感動を返してよ!」

迎  「というか、けがしなくてもやることはやるんですね…」

(突然、警報音とともにアナウンスが鳴り響く)
(ビーッ ビーッ ビーッ!)

光牙 「近海に『メイルストローム』が出現! 繰り返す!近海に『メイルストローム』が出現した! ヴァルキリーチームは直ちに作戦会議室に集合せよ!」

迎  「っ…!」

(走り出す迎)

明日風「待ってよ迎!ほら陽乃さん!私たちも行きますよ!」

陽乃 「えぇ、行きましょう!」



(明日風・陽乃が会議室に到着)
(他の面々も揃っている中、先に向かったはずの迎だけが到着していない)



明日風「小松川明日風、到着しました!」

光牙 「よし!後は迎だけだな」

明日風「え?迎なら、私達より先に走っていったけど…」

光牙 「なんだと!?あのバカ、さては一人で出撃したな!? 今回はとても一人でどうにかできる相手ではないぞ!」

夢見 「そんな!」

光牙 「すぐに全員出動だ!一刻も早く現場に急行せよ!」

迎・光牙以外 「はい!」

(迎・光牙以外出動)

夢見 「もうすぐ敵反応地点です。通信はいかがでしょうか、司令官」

光牙 「良好だ。現地の状況はどうだ?」

タマ 「あ、見えてきたわよ!ってちょっと!迎がピンチじゃない!」



迎  「くっ…。攻撃が通じないなんて…」

陽乃 「まずいですわね。わたくしは狙撃ポイントへ向かいます」

明日風「どうしよう!?迎がやられちゃうよ!」

光牙 「迎の救出が最優先だ!有菜、間に合うか!?」



有菜 「このままじゃ間に合いそうにないぞ…! そうだ!おい、タマ!お前さっきの靴履いてるか!?」

タマ 「え?あ!そういえばそのまま履いてきちゃったわ。 あまりのフィット感に履いていることを忘れてた」

有菜 「よし!さっきのジェット噴射で、迎の所へ飛んでいくんだ!」

タマ 「えぇ~っ!」

夢見 「確かに、あれなら間に合うかも!」

タマ 「で、でも…」

明日風「タマちゃん!迎を助けて!助けられるのはタマちゃんだけなの!」

タマ 「わ、わかったわよ!やればいいんでしょ、やれば! こうなったらヤケよ!もうどうにでもなれ!ポチッ」

(ピューーーーーーンッ)
(タマが迎めがけて飛んでいく)

迎  「くっ…;。もうダメ…。あれ?なにか飛んで…」



タマ 「ああああああああ!迎~!助けて~!」

迎  「えぇ!?」

迎・タマ 「ふぐっ!」

明日風「よし!タマちゃんが迎を助けたよ! え!? あれ!? 二人とも止まらないけど!」



陽乃 「狙撃ポイントに到着しま…あら? 迎さんとタマさんがこちらへ飛んできますわ! 二人の美少女がわたくしに飛びついてきますわ! ささ!遠慮なさらず、この胸に飛び込んできてください!」

迎・タマ 「いやぁああああ!」

(ドシーーーン)

光牙 「続いてメイルストロームの撃破に移るぞ!夢見!敵の弱点を探れ!」



夢見 「もうすぐ解析完了です……出ました!『目』です!敵は『目』が弱点です!」

光牙 「でかした!有菜!敵の目を狙え!」



有菜 「よっしゃぁ!くらえーーー!」

(ドォォーーーン)

光牙 「敵が怯んだぞ!チャンスだ明日風!決めろー!」



明日風「うおりゃーー!」

(ドォォーーーン)

明日風「やったー!倒したー」



有菜 「よくやったぞ、明日風!他のみんなも、よくやった!」

迎  「あ、あの…有菜姉…一人で勝手な行動をしちゃって、ごめんなさい…」

有菜 「いいってことよ。でも、お前は一人じゃないんだ。 私たち仲間のことをもっと信頼していいんだよ」

迎  「そう、だね…。みんな、迷惑かけてごめん。 これからは、みんなと一緒に戦っていきたいと思うんだけど、いいかな?」

明日風「もちろんだよ!」

夢見 「うん!」

陽乃 「えぇ。当然ですわ」

タマ 「もうお嫁にいけない……」

光牙 「迎、なに当たり前のこといってんだ!早く帰って来い。みっちり訓練つけてやるぞ」

迎  「はい!」


【完】